劇画関係書籍

先日注文した古本が到着。


ぼくは劇画の仕掛人だった (作者: 桜井昌一 出版社: エイプリル・ミュージック 発行:1978年)

書影
この本は「劇画風雲録」という桜井昌一の回顧録と、「劇画人列伝」という色々な劇画家のエピソードや批評を書いたものの二部構成となっている。
劇画風雲録は、辰巳ヨシヒロの『劇画漂流』や佐藤まさあきの『「劇画の星」をめざして』等、他の作家の回顧録と比べてみると面白いかもしれない。ともあれ、新しいジャンルが生まれる時代の熱気というか、そういうものを直接経験できるなんて羨ましいかぎりだ。今、マンガを読んでも面白いと思いこそすれ、ワクワクするような感覚を残念ながら私は感じることができない。しかし新しいジャンルが生まれる、そんな時期の読者はきっと新しい流れにワクワクしたことだろう。
劇画人列伝はやはりというか色々な劇画家の奇人変人ぶりや作品論に興味は尽きない。
ちなみに劇画人列伝で取り上げられている作家は

そうそうたる顔ぶれだ。所でこの本では表記がさいとうたかをになっているがいつからさいとう・たかをになったのだろうか…。
中でもやっぱり気になるのは佐藤まさあき先生。やっぱり白いスーツにカラーシャツに銀色のネクタイにドクロのネクタイピンをしていたらしい。街で見かけたら完全にアブナい人と思うだろう。しかも自分の事務所に、殺し屋(?)になりきった自分の写真を大きく引き伸ばして(実物より大きいサイズ)飾っていたらしい。やはりナルシストなのか。『「劇画の星」をめざして』にも殺し屋になりきった写真がのっていたっけ…。
他にも水島新司の貧乏ぶりとかびっくりしちゃうよ。『「劇画の星」をめざして』にも書いてあったけど。
ところで、今までこの手の本は何冊か読んでいるけれど一様にさいとう・たかをに対しての評価は辛らつな気がする…。


関連してだいぶ前に購入した『「劇画の星」をめざして』も紹介。
「劇画の星」をめざして 誰も書かなかった<劇画内幕史> (作者:佐藤まさあき 出版社:文藝春秋 発行:1996年)
  
書影 裏表紙も面白いのでのせてみた。
戦災孤児であり不遇だった少年時代、漫画家になり自社ビルを建てるほどの成功、転落の日々、波乱万丈な人生が赤裸々につづられていてかなり面白い。それにしてもこの作者は自分の事を語るのが好きなようだ。他にも自分の女性遍歴(!)をまとめた本をだしたり、自分の単行本でもよく作品解説を自分で書いている。さいとう・たかをの事を自己顕示欲の強いヤツだみたいな感じで書いていたけれどそっくりそのまま自分に当てはまるのでは…。
とにかく普通の神経の人ではないことは確かだ。

殺し屋になりきる著者