水木しげる怪奇貸本名作選 不死鳥を飼う男・猫又


4月から始まったNHKの朝ドラ『ゲゲゲの女房』を見ていたら、無性に貸本時代の水木しげるの漫画が読んでみたくなり、購入。
そういえば、水木しげるの漫画を読むのは初めてです。アニメで『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』は見ていたしドラマの『のんのんばあとオレ』も見ていたけれど。
ところで、水木しげる貸本時代の漫画は結構復刊されていて、有名作『墓場鬼太郎』も文庫で出ているわけですが、今回なぜこのタイトルを選んだかと言えば、桜井昌一*1佐藤まさあきが各々の著書の中で、この短編集に収録されている『水晶球の世界』を褒めていたのを思い出したからです。
読んでみると、もちろん古い作品なので絵はやっぱり古臭いわけですが(しかし、絵はやはり上手い)、幻想的な不可思議な世界、着想は面白く今でも新しく感じられる部分がありひたすら感心。また、登場人物たちの会話がどことなくとぼけているというかほんわかとした雰囲気で、読んでいてクスリとしてしまうことが何回か。暗いはずなのに妙にのどか、とにかく独特の作風です。
また、貸本劇画をちょっと知っている人はニヤリとさせられる部分も。たとえば『ハト』という作品に出てくるセリフ。「あなたきのうは昌一と正明のけんかを仲裁していたわ」昌一と正明…昌一とまさあき…桜井昌一佐藤まさあき…?『群衆の中に』という作品の主人公の名字が長井…ひょっとして長井勝一からとったのかしらん…?なんてついつい考えてしまいます。


他の貸本時代の漫画もぜひ読まなくては…!と思わせる一冊でした。

*1:水木しげるの漫画に登場するメガネのさいえないサラリーマン風の男のモデルなのだ